多くの個人事業主の方が、マイクロ法人による節約条件に一致します。
なぜなら、社会保険料を支払っていて、納税している個人事業主なら、マイクロ法人で節約できる可能性があるからです。
個人事業主の方は、払わずに済む社会保険料と税金を納付している可能性があります。
僕はマイクロ法人を作った事で、年間の社会保険料と納税額がそれまでの半分以下になりました。
この記事では、マイクロ法人について「メリット・デメリット」「節約できる人の条件」に分けて解説します。
付け加えて「よくある質問」もご用意しました。
1) マイクロ法人とは
規模の拡大を目的としない、従業員が1人または家族のみの会社のことです。
マイクロ法人は1人または家族のみの会社なので、働き方としてはほとんどフリーランスと変わりません。
個人事業主に加えマイクロ法人も運用する事で、「社会保険料の最小化」と「法人と個人事業主の両方の控除適用」を始め、さまざまな節約効果が得られます。
マイクロ法人は基本的に個人事業も継続し二刀流で運用する事で成立します。
個人事業から法人成りして、法人一本でやっていくのとは違います。
より詳しくご理解いただけるように、マイクロ法人の「メリット・デメリット」「節約できる人の条件」に分けて解説します。
付け加えて「よくある質問」もご用意しました。
順番に解説します。
2) マイクロ法人の【メリット】
マイクロ法人は主に「社会保険料の最小化」と「法人と個人事業主の両方の控除適用」によって節約効果が得られます。
さらに「社会的な信用」という価値が加わります。
これらがマイクロ法人のメリットと言えるでしょう。
それぞれ解説します。
2)-1 社会保険料が安くなる
マイクロ法人を作ると社会保険料を節約することができます。
マイクロ法人は、個人事業主と法人の社会保険の扱いの違いを使って節約します。
簡単にまとめると、マイクロ法人を作ることで以下の2つが可能になり社会保険料を節約できるのです。
イメージとしては下記の図のようになります。
■マイクロ法人の社会保険節約のイメージ図
法人を設立すると個人事業主の社会保険から抜けて、法人の社会保険に切り変える形になります。
法人の「厚生年金と健康保険」の場合は、本人分(被保険者分)を納付するだけで扶養家族が何人いても負担はありません。
つまり扶養家族が多い人ほど、マイクロ法人による社会保険の節約効果が高くなります。
社会保険料については、法人では役員報酬額(従業員報酬額)が少ないと社会保険料が安くなります。
役員報酬額を低く設定し、標準報酬の月額等級を低くする事で社会保険料そのものを安くできるのです。
「社会保険料の最小化」について詳しく知りたい方は、下記のブログをご覧ください。
2)-2 法人と個人の控除いいとこ取り
個人事業主なら青色申告控除についてご存じの方も多いと思います。
加えてマイクロ法人を作る事で、さらに給与所得控除を受ける事ができるのです。
簡単に内訳をまとめると以下のようになります。
イメージとしては下記の図のようになります。
■マイクロ法人による追加控除のイメージ図
個人事業主は青色で確定申告ですると青色申告控除(最高65万円)が適用されます。
マイクロ法人を作り法人から給与を受け取ると、さらに給与所得控除(最低55万円)が適用されます。
結果、控除額が増え課税所得が減り所得税と住民税を節税できます。
「法人と個人事業主の両方の控除適用」について詳しく知りたい方は、下記のブログをご覧ください。
2)-3 一般的な会社設立と同じメリット
当たり前ですが、一般的な会社設立のメリットもおまけについてきます。
以下などがそうです。
■代表取締役になれる
マイクロ法人は1人の法人なので設立者が代表取締役になります。
名刺や会社のサイトには代表取締役と明示することになります。
代表取締役という肩書きで信頼感がまし、顧客や取引先が獲得しやすくなったりします。
■資金調達がしやすい
法人化することで社会的信用度が上がり、銀行などから融資を受けやすくなる可能性があります。
個人事業主だと、融資の審査が厳しい傾向にあり、融資額も制限されてしまいます。
銀行によっては、融資先を法人に限定しているところもあります。
法人だと銀行からの評価も上がり、融資を受けられる可能性が高くなります。
■経費計上の幅が広がる
法人では、個人よりも、経費計上できる範囲が広いです。
- 家賃:社宅制度を使って家賃を経費にできる
- 出張費:出張手当として支給して経費にできる
- 車代:社用車にすると個人より経費の割合を増やせる
など
3) マイクロ法人の【デメリット】
認識の違いや後悔がないようにデメリットも解説します。
3)-1 役員報酬を少なく設定する
マイクロ法人では、社会保険を節約するために、役員報酬を少なく設定します。
役員報酬を少なくするため、法人の売上を少なくする必要があります。
法人でガッツリ稼いで、バッチリ役員報酬をもらうと、マイクロ法人特有の社会保険の節約ができなくなるのです。
マイクロ法人の役員報酬を、詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
3)-2 個人と法人の経理が必要
個人では確定申告、法人では決算をそれぞれ行うことになります。
特に、個人事業主の確定申告より、法人の税務申告は難易度が高いです。
税理士に依頼する場合は、年間10万〜30万円ほどの手数料が相場と言われています。
3)-3 規制される可能性もありうる
将来的に法改正などで、規制される可能性もないとはいえません。
その場合は節約効果が少なくなる、ということも、あるかもしれません。
3)-4 一般的な会社設立と同じデメリット
規模の小さいマイクロ法人といえども、手続き的には一般的な会社設立と違いはありません。
つまり、法人の設立と運用には、ある程度の、手間と費用がかかるという内容になります。
■法人設立費用がかかる
法人設立には定款の認証や設立登記などの費用がかかります。
株式会社なら約24万円、合同会社なら約10万円位です。
■申請手続きが必要
法人設立には、申請資料の作成、提出など、関係各所に申請手続きが必要です。
■住民法人税が約7万円かかる
法人を作ると、法人住民税の均等割で最低年間約7万かかります。
この法人住民税は所得に関係なく一律でかかります。
マイクロ法人のデメリットを詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
4) マイクロ法人で【節約できる人の条件】
結論から言う上記に該当する個人事業主は、マイクロ法人で節約が可能です。
加えて扶養家族の分も社会保険料を払っている人は、さらに大幅に節約効果を得られます。
マイクロ法人では、あまり稼がずに小さい所得の法人を作る必要があります。
具体的にいうと、役員報酬額を少なく設定する必要があるのです。
逆に以下に該当する人は、マイクロ法人の条件に合わない人となります。
サラリーマンはマイクロ法人を立てても社会保険と控除による節約が見込めないのです。
また、利益が大きい法人だとマイクロ法人による節約効果を得る事ができないでしょう。
「マイクロ法人で節約できる人の条件」について詳しく知りたい方は、以下のブログをご覧ください。
5) マイクロ法人の【よくある質問】
マイクロ法人の「よくある質問」をまとめました。
5)-1 マイクロ法人は売上なし赤字でも大丈夫?
マイクロ法人は赤字決算でも大丈夫です。
なぜなら、法人の赤字決算は普通の事で税務報告の観点でもなんの問題もないからです。
また役員報酬は必ずしも法人の原資から支払わなくてもいいんです。
昔の利益、借入、個人の貯金などから支払う事ができます。
さらに付け加えると赤字決算には節税効果もあります。
詳しくは以下のブログをご覧ください。
5)-2 マイクロ法人は違法じゃないの?
マイクロ法人は節税や節約という点がアピールされがちなので、法の抜け道のように思われたのではないでしょうか。
心配はいりません。マイクロ法人は合法です。
正確にいうと、嘘や不足がないように申請・申告すれば、税金や社会保険の節約が目的でも問題ありません。
マイクロ法人は、代表取締役も所在地もある実在している会社です。
俗にいうペーパーカンパニーやダミー会社とは違います。
詳しくは以下のブログをご覧ください。
5)-3 マイクロ法人の作り方は?手順は?
マイクロ法人の作り方は、大きく分けると「自分の会社の基本事項を決める」「登記申請する」となります。
詳細に分類すると手順は多いのですが、順番にやっていけばマイクロ法人は作れます。
僕は会社設立サービス(freee会社設立)を使って2週間程度でマイクロ法人を作る事ができました。
「マイクロ法人の作り方」について詳しく知りたい方は、以下のブログをご覧ください。
5)-4 おすすめの会社設立サービスは?
僕は会社設立サービスの「freee会社設立」を使ってマイクロ法人を作りました。
「freee会社設立」を使うと具体的な手順をステップ形式で進める事ができます。
必要書類も全てダウンロードできます。
設立だけでなく設立後の具体的な手順も案内してくれます。
これら全ての利用料金は無料です。
僕は税理士の力を借りずに、あっけないくらい簡単に法人成りできました。
「freee会社設立」について詳しく知りたい方は、以下のブログをご覧ください。
5)-5 おすすめの事業内容(職種)は?
マイクロ法人と個人事業主をそれぞれ運用するため、事業内容もそれぞれ別々に設定する必要があります。
しかし「実働しない、または実働の意志がない会社」はNGです。
今後持続していく意志のある事業内容を設定しましょう。
マイクロ法事人の事業内容の考え方は以下のように分類できます。
詳しくは以下のブログをご覧ください。
5)-6 マイクロ法人で資産運用できるの?
マイクロ法人は資産管理会社として、資産運用益を含めた所得を運用する事ができます。
ただし法人の所得が多すぎるとマイクロ法人特有の節約効果を発揮できません。
資産管理会社の所得を小さく運用できればマイクロ法人の節約効果を得られます。
「マイクロ法人による資産運用」について詳しく知りたい方は、以下のブログをご覧ください。
5)-7 サラリーマンはマイクロ法人で節税できる?
サラリーマンの法人設立による節税対策はマイクロ法人ではなく、プライベートカンパニーという認識が妥当かと思います。
呼び方の違いだけと言われればその通りなのですが、
マイクロ法人とプライベートカンパニーではそれぞれ節約の趣旨に違いがあります。
「サラリーマンが節税目的で設立する法人」について詳しく知りたい方は、以下のブログをご覧ください。
5)-8 マイクロ法人の節約効果は所得がいくらから?
個人事業主の国保より、マイクロ法人の社保の方が割安なので、
多くの個人事業主はマイクロ法人を作ると節約できます。
では自分はいくら、マイクロ法人でお得になるのか?
それには、個人事業主の国保料と、マイクロ法人の社保を比較します。
個人事業主の国保料は、所得がいくらかで変わります。
しかし個人事業主の国保料は、算出方法がややこしいので、
所得がいくらだと、いくら得する、と断定する事が難しいです。
(所得の概念にも癖があるんです…)
「マイクロ法人の節約効果と所得の関係」について詳しく知りたい方は、以下のブログをご覧ください。
6)「払わずに済む税金」はマイクロ法人で節約
多くの個人事業主の方がマイクロ法人による節約条件に一致します。
特に子育て世代の個人事業主の方は、払わずに済む税金を納付している可能性が高いです。
僕はマイクロ法人設立後、手元に残ったお金を実感できた時、安心感がとても大きかったことをよく覚えています。
僕は2週間くらいで会社を設立する事ができました。
会社設立サービスを使うえば、税理士に依頼せずに自分1人でマイクロ法人を設立できます。
どの会社設立サービスにするか考えている方は、各サービスの比較説明を用意しましたのでご覧ください。
私個人的には、自分が実際にマイクロ法人を作る時に利用した「freee会社設立」に一票を入れます。
会社設立サービスを利用した具体的な手順解説は、以下の記事をご覧ください。
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