フリーランスになるには、4つの申請手続きを済ませれば事務手続き的には完了です。
特に難しいことはありません。
その他に仕事探しや環境整備などの準備が必要になります。
僕はフリーランスWEBディレクターとして、今年で3年目に入りました。
開業準備に関しては、手こずった事もあれば、逆にあっけなく片付いた事もありました。
この記事では、フリーランスWEBディレクターとして独立開業するための申請や準備を解説します。
開業当時にわかりづらかった所や「これをやっておけば良かった」と思った事なども盛り込んで説明していきます。
1) 独立開業の準備【一覧】
独立開業に必要な準備を一覧にしました。
項目 | 概要 |
---|---|
開業届 | 開業届とは、事業を開始する際に、税務署へ提出する書類です。 |
青色申告承認申請書 | 青色申告承認申請書とは、確定申告で青色申告を行う場合、税務署へ提出する書類です。 |
国民年金 | フリーランスになると、会社員の頃に加入していた厚生年金から国民年金に切り替わります。 |
国民健康保険 | フリーランスになると、会社員の頃に加入していた健康保険から国民健康保険に切り替わります。 |
項目 | 概要 |
---|---|
仕事探し | 「知り合いのツテ」や「フリーランスエージェント」などで仕事を確保しましょう |
会計と確定申告 | 会計ソフトを導入して、会計と確定申告に備えましょう。 |
項目 | 概要 |
---|---|
事業用のサイト | 1ページだけの小さいサイトでいいので、作っておいた方がいいです。 |
ポートフォリオと職務経歴書 | ポートフォリオと職務経歴書はフリーランスWEBディレクターにとっては必須と言っても過言ではありません。 |
パソコン | WEBディレクターの場合は、制作目的ではないのでノートパソコンでいいと思います。マックブックがお勧めです。 |
備品と設備 | ・早めのWi-Fi ・長時間座っていられる椅子 ・デュアルモニター |
仕事用の銀行口座 | フリーランスになる方は仕事用に使う銀行口座が必要です。 |
クレジットカード | WEBディレクターの場合、仕入れがないので必須ではないと思いますが、専用で使えるカードがあるといいと思います。 |
屋号 | 屋号とは、個人事業主の商業上の名前のことです。 |
名刺 | なくてもなんとかなりますが、気持ち的にテンションも上がるので持っておいてもいいと思います。 |
事務書類 | 主に「見積書」や「発注書」のことです。 |
2) WEBディレクターが独立開業するには
WEBディレクターの独立開業は、基本的には他の職種の独立開業と同じです。
付け加えてお伝えする点としては、
エージェントの活用やパソコン環境の整備には他の業種より力を入れた方がいいと思います。
僕個人として不要だった準備としては、名刺とプリンターは今のところあまり使う事がないので、買わなくてもよかったと思っています。
これから各準備について、僕の所感を織り交ぜて解説します。
特にフリーランスWEBディレクターになる方は、ご参考になると思います。
3) 申請手続き
独立開業するために必要な4つの申請手続きを解説します。
これはどの業種も共通です。
手続きに手数料は発生しません。
各手続きの解説で「書類名」「提出先」「準備するもの」を一覧にしてご覧いただけるようにします。
3)-1 開業届
開業届とは、事業を開始する際に、税務署へ提出する書類です。
正式には「個人事業の開業・廃業等届書」と言います。
事業の開始以外にも、事務所・事業所の新設や増設、移転や事業の廃止を行った際にも提出します。
書類名 | 個人事業の開業・廃業等届書 |
提出先 | 納税地を管轄する「税務署」 |
準備するもの | 特になし |
青色申告を行う場合は「青色申告承認申請書」の「有」を選択します。
事業の概要は、幅広い事業を網羅できる内容だと将来的にも便利です。
その他に記入に際しては、あまり難しい点はないと思います。
WEBディレクターの事業の概要例文:
WEBに関する制作・運用及びそれに付随する業務
3)-2 青色申告承認申請書
青色申告承認申請書とは、確定申告で青色申告を行う場合、税務署へ提出する書類です。
正式には「所得税の青色申告承認申請書」と言います。
この申請書を提出していない場合は自動的に白色申告になります。
書類名 | 所得税の青色申告承認申請書 |
提出先 | 納税地を管轄する「税務署」 |
準備するもの | 特になし |
青色申告すると65万円の控除を受けられるので、申請する事を強くお勧めします。
わかりづらいところは、「簿記の形式」と「帳簿について」だと思います。
書き方に関しては、会計ソフトFreeeの解説ページにお手本があるのでご参照ください。
3)-3 国民年金
フリーランスになると、会社員の頃に加入していた厚生年金から国民年金に切り替わります。
厳密にいうとこの手続きは、フリーランスだけでなく会社を退職する人が必要になる手続きです。
自分が住んでいる市区町村役場で支払いの手続きを行います。
手続きの際には、「職場の社会保険をやめた証明書」が必要です。(資格喪失証明書、扶養削除証明書など)
役場の窓口で、会社を退職し独立開業した事を伝えると手続きの手順を案内してくれます。
手続きに直接必要ないのですが、念のために年金手帳も準備しておくと安心です。
書類名 | 国民年金被保険者関係届 |
提出先 | 居住している「市区町村役場」 |
準備するもの | ・職場の社会保険をやめた証明書(資格喪失証明書、扶養削除証明書など) ・自分と扶養家族の身分証明書 ・自分と扶養家族のマイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード |
「職場の社会保険をやめた証明書」に関して、会社によっては対応が煩雑な事があるので、どの書類がいつ頃届くのかを、辞める会社の事務や総務に確認した方がいいと思います。
3)-4 国民健康保険
フリーランスになると、会社員の頃に加入していた健康保険から国民健康保険に切り替わります。
これも国民年金と同じく、フリーランスだけでなく会社を退職する人が必要になる手続きです。
手続きの際に必要な書類も国民年金と同じです。
自分が住んでいる市区町村役場で支払いの手続きを行います。
書類名 | 国民健康保険適用届 |
提出先 | 居住している「市区町村役場」 |
準備するもの | ・職場の社会保険をやめた証明書(資格喪失証明書、扶養削除証明書など) ・自分と扶養家族の身分証明書 ・自分と扶養家族のマイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード |
「国民健康保険」の他に「任意継続健康保険」という方法があります。
これを使えば会社員のときと同じ健康保険(協会けんぽなど)に退職後2年間入ることができます。
扶養家族分の納付が不要なので、扶養家族がいる方は保険料の節約になります。
4) 仕事探し
フリーランスWEBディレクターになるための準備として、もっとも大事な準備は仕事探しです。
極端な話、その他設備などは仕事探しのために準備していると言っても過言ではありません。
フリーランスの準備は仕事探しをメインに進めていきましょう。
4)-1 知り合いのツテ
まず抑えるべきは知り合いのツテです。
現在会社員のWebディレクターであれば、今の会社から依頼をいただくケースや、他の協力会社のお手伝いをするというケースがあります。
フリーランスになることを伝えて、自分を売り込んでおきましょう。
知り合いの協力会社や退職する会社とは良好な関係を築くようにしましょう。
4)-2 フリーランスエージェント
フリーランスエージェントは、企業の求める人材とフリーランスをマッチングしてくれるサービスです。
利用登録や案件紹介は各社無料です。
一般的には参画した案件に仲介手数料が発生する仕組みです。
希望の働き方などの条件に沿って案件を紹介してくれます。
ツテやアテがないWebディレクターはフリーランスエージェントに相談する事をお勧めします。
各エージェントについて知りたい方は、以下のブログで詳しく紹介しております。
5) 会計と確定申告
フリーランスになる方に取って、仕事探しの次に心配な点は、会計と確定申告ではないでしょうか。
しかしここは、会計ソフトに任せてしまいましょう。
税理士に依頼するという手段もありますが、数万円から数十万円の費用がかかります。
多くのフリーランスは会計ソフトで確定申告して費用を節約しています。
5)-1 確定申告の準備「会計ソフト」
簿記に詳しくない方には「freee会計」をお勧めします。
銀行口座やクレジットカードを同期すれば帳簿に自動入力してくれます。
簡単な設定で帳簿が出来上がります。
確定申告もステップ形式で進めていけば、完了できます。
僕はフリーランス一年目に不安な気持ちで確定申告をやってみましたが、あっけないくらい簡単に終わりました。
会計ソフトについて詳しく知りたい方は、以下のブログをご覧ください。
6) 仕込み・買い物
会社以外で働くとなると、意外と必要なものが出てきます。
必要になってから揃え始めると本業に差し支えるので、早めに準備する事をお勧めします。
6)-1 事業用のサイト
事業用のサイトとは、法人のコーポレートサイトのようなサイトのことです。
クライアントからしたら、なんの情報もないとその事業主が本当に実働しているのか判断できません。
事業用のサイトがあるだけで、信頼感が増します。
1ページだけの小さいサイトでいいので作っておいた方がいいです。
主に事業内容と連絡先を記載しておくといいでしょう。
サーバーとドメインを契約する事になるので、独自ドメインのメールアドレスも同時に用意できます。
6)-2 ポートフォリオと職務経歴書
ポートフォリオと職務経歴書はフリーランスWEBディレクターにとっては必須と言っても過言ではありません。
言い方を変えると、仕事探しには必須といえます。
エージェント経由でも、知り合いの紹介でも、初めてのクライアントはまずポートフォリオと職務経歴書で実績を判断します。
きちんとした会社ほど、選考時に資料をよく読み込みます。
時間をかけてでも、ポートフォリオと職務経歴書は作り込みましょう。
6)-3 パソコン
WEBディレクターでなくても今ではパソコンは必須アイテムと言えるのではないでしょうか。
WEBディレクターの場合は、制作目的ではないのでノートパソコンでいいと思います。
予算に縛りがないのであれば、コスパという面でマックブックがお勧めです。
Windowsマシンやクロームブックと比較しても、スペックや利用年数などを検討するとマックブックに行き着くと思います。
20万円前後しますが、大事に使えば5年くらいは使えるし、何を始めるにしてもカバーできる機能を備えている端末です。
6)-4 備品と設備
多くの方は自宅で作業されると思います。
その際会社と比較すると、自宅の設備ではいたらいない点が出てくるでしょう。
WEBディレクターの設備として、
パソコンに加えて最低限あった方がいいものは以下かと思います。
- 早めのWi-Fi
- 長時間座っていられる椅子
- デュアルモニター
この3つはなくても、なんとかなると思われがちですが、作業効率とストレス軽減のためには、僕は必須と思っています。
必要になってから買い始めると、設備が揃うまでの期間がもったいないです。
開業前に揃える事をお勧めします。
僕の作業環境をブログで紹介しています。よかったらご参考にしてください。
6)-5 仕事用の銀行口座
フリーランスになる方は仕事用に使う銀行口座が必要です。
会計ソフトを使う時に、銀行口座を登録して使うので、生活に使う口座とは別に扱った方がいいからです。
すでにいくつか口座を持っていて、それを仕事用に使えるならそれで問題ありません。
使える口座がないなら、新規口座を開設した方がいいでしょう。
6)-6 クレジットカード
WEBディレクターの場合、仕入れがないので必須ではないと思いますが、専用で使えるカードがあるといいと思います。
例えば、クライアントのWEB広告を代行するような方は自由に使えるカードがあるといいですよね。
よく個人事業主はクレジットカードが作りづらいという情報を目にしますが、あまり気にしないでいいと思います。
クレジットカードを発行してくれるサービスはたくさんあり、どれもネットですぐに手続きできるからです。
なので急いで作る必要はありませんが、手数料が無料のクレジットカードなどが手元にあると安心です。
6)-7 屋号
屋号とは、個人事業主の商業上の名前のことです。
法人の会社名に近い扱いです。
開業届に屋号を記入する箇所があるのですが、空欄でも大丈夫です。
会計ソフトや確定申告の時にも記入欄があるのですが、これも空欄でも大丈夫です。
つまり屋号がなくてもなんとかなるのですが、
必要になってから考えるより、開業の時に決めておいた方がいいと思います。
僕は、開業したのちにマイクロ法人を作ったのですが、屋号を用意していたので社名を考える時に楽でした。
また、名刺を作るなら屋号とセットで肩書きを「代表」とすると自然です。
6)-8 名刺
個人的には、仕事で名刺を使ったことはほとんどないです。
なくてもなんとかなりますが、気持ち的にテンションも上がるので持っておいてもいいと思います。
ネットで注文すると5,000円くらいで作れます。
肩書きは「WEBディレクター」または屋号があるなら「代表」と入れてもいいですね。
6)-9 事務書類
主に「見積書」や「発注書」のことです。
知り合いのツテなどで自分で新規のクライアントと契約を結ぶ時には、「業務委託契約書」や「秘密保持契約(NDA)」が必要になる事があります。
今の会社の書類を参考にするなど、事前に雛形を用意するといいと思います。
7) 僕の心残り【助成金と補助金】
これは独立開業した後に知ったので、後悔している事なのですが、
独立開業に対して助成金と補助金を受ける事ができます。
開業には、パソコンやその他設備にお金がかかります。
こうした開業費用を助成金と補助金でまかなう事ができます。
開業して一定期間(数ヶ月から一年くらい)経ってしまうと、助成金と補助金を受け取る事ができません。
手続きが手間なのですが、申請方法などはYouTubeやブログで知る事ができます。
数十万円から数百万円受け取る事ができます。
数十万円の仕事をしていると割り切って取り組むといい思います。
創業支援等事業者補助金 | 対象:新たに創業を予定する者 補助率:補助対象経費の3分の2以内 補助額:1,000万円(下限50万円) |
小規模事業者持続化補助金 | 対象:従業員数5名以下(製造業は20名以下)の小規模事業者 補助率:補助対象経費の3分の2以内 補助額:上限50万円以内 |
8) 優先度を決めて順番に潰していけばOK
極端な話、4つの手続きを済ましてしまえば税法上には個人事業主になります。
実質的な準備としては、仕事探しと会計と確定申告の準備かと思います。
仕事探しを固めつつ、優先度を決めて順番に潰していけば準備が完了するでしょう。
文中でもご紹介していますが、以下にも「エージェントの比較」「freee会計」「freee開業」のリンクを貼っておきます。
ご活用ください。
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